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商品を通した日本の文化伝承活動を表裏一体で考える

JCAT(ジャパンカルチャーアジアトレーディング)の代表茂木龍一郎です。

メーカー勤務時代、2006年、香港から、中国本土の支社に異動になりました。

中国珠海市にあるホテルの大ホールを借りて、中国国家広電総局のテレビCF部門のトップ、中国主要13省の国営テレビ局の局長、200名を超える、中国全土の卸売業の経営者に参列して頂いた中・・・。

僕はパワーポイント、そして、現地で雇用した中国人スタッフの通訳を介して、片言の英語を駆使して約1時間に渡るプレゼンテーションをさせて頂きました。

日本人初!中国政府と民間企業の両方を巻き込んだプロジェクト

国家広電総局の暗黙の了解の下、各省のテレビ局と流通が密接に組んだ、全く新しい戦略術。

中国本土全体の商慣習をも根本的に変えるビジネススキーム。日本の製造メーカー、中国全土のテレビ局、現地代理店、卸売流通業。

全員がWIN-WIN-WINになれる、今まで誰も実現させたことが無かった新しいスキームを提案させて頂いたのです。

国家広電総局とは、中国共産党が、最も重要視している部門の一つ。検閲に許諾、全テレビ局の情報発信の内容を全てコントロールしている政府機関です。

実は、2004年頃から、日本のテレビドラマ、アニメ、映画などが、中国本土で一切放映許諾が降りなくなってしまったのも、この国家広電総局が全て、過去の許諾済みの番組までに遡ってまで、全て非承認にしてしまったからです。

僕が提案したスキームによって、国家広電総局のテレビ宣伝広告部門トップからも、「兄弟」の称号を頂戴した程。

中国本土のテレビ局、現地代理店、卸売業者、プロジェクトに参加した全員にとって、メリットのある提案だと認めてくれました。

1円もかけずに中国全土にテレビCFがかかり日本発の商品が売れた

結果・・・ただの一円の宣伝広告費を持ち出すことなく、中国全土の大小数百の全テレビ局に、僕が商品として提案した、携帯ゲーム機のテレビCFが放映されることになりました。

たとえば、上海の子供向けテレビチャンネル『TOONMAX』では、一日40回ものテレビCF広告が、繰り返し放映され続けました。北京のテレビチャンネル『KAKU』も同様に凄いことになっていました。

従来、中国本全ての注文をかき集めても1,000個程市場投入してしまえば、在庫が残ってしまうレベルの高額の正規品携帯ゲーム機。

出荷前入金の条件にて、中国本土合計で55万個出荷することに成功。(内5万個分、入金条件を少しだけ妥協してしまい、お金の回収と納品までに約1年間かかってしまったのですが・・・。)

約20年間億単位の赤字続きだった中国現地のオペレーションを、たったの半年で億の黒字に転換することに成功しました。

その後も同様の方法で、商品第二弾、シリーズ合計120万個、商品第三段、シリーズ合計120万個を、現金回収を伴った出荷に成功。

中国本土の全省に流通させることに成功し、中国全土の子供たちに購入頂き、商品で遊んでもらうことに成功しました。

プロジェクト成功の副産物として発生した大きな問題

ただし、このスキームには大きな問題があり、勤務していた製造メーカー内部では、物議をかもし出しました。それは・・・同時に、製造メーカー正規版でない、十分の一の価格の模倣品が、数千万個単位で売れてしまったのです。

55万個出荷した最初の製造メーカー正規版の携帯ゲームは、約2,000万個の模倣品が生産され、出荷されてしまったと推測されています。同スキームにより120万個出荷した商品第二弾は、約3,000万個の模倣品が生産され、出荷されてしまったと推測されています。

最後に120万個出荷した商品第三弾は、約4,000万個の模倣品が生産され、出荷されてしまったと推測されています。

JETRO上海:「100%外資(日本資本)系の企業で、ここまでの成果を叩きだした日本企業は始めてですね!」

当時のJETRO上海の担当者にも言われました。

拠点として新オフィスを立ち上げた中国広東省の納税ランキングでベスト200位を達成し、中国本土の税務局から表彰されました。

それほど、日本の製造メーカーとしては、過去に一度も誰も成し得なかった、異常値とも呼べる結果を叩きだし、日本発の文化の産物である、日本の商品の正規品を中国全土で販売することができたのです。

自らが売上・利益目標を達成すると共に、中国本土各省のテレビ局、卸売業者の方々に、商売として稼いで頂くこともできました。

WIN-WIN-WINの状態を構築することができたのですが、結果として数千万個レベルの模倣品が、中国全土で販売されてしまう結果にもつながってしまったのです。

確かに、日本発の商品の名称と遊び方自体は、中国全土の人たちに広がりました。一時期、「中国本土で名前を知らない者はいない!」レベルの認知度を叩きだすことに成功しました。

けれども、それは製造メーカー純正の商品によるものだけでなく、イリーガルな模倣品によるものが大多数あるという、皮肉な結果になりました。

中国本土で実現したスキームを構築する上で、当初から予想していたわけではなく、結果としてそうなってしまったものなのですが、ここまで大々的な規模になってしまうと、僕としてもどうしようもありませんでした。

模倣品を摘発しようにも、あまりにも莫大な規模で展開されていて、摘発のしようがありません。

「日本の商品が、中国本土のより多くの方々に、広まってよかったじゃないか!」

「模倣品を助長するなんて何事だ!どんなに大きな結果を叩きだしたからと言って、イリーガルな行為を認めることはできない!」

オフィスの中の机上では、様々な意見が飛び交いましたが、良い面もあれば悪い面がある・・・。

結果、この成果が良かったのか?悪かったのか?仕掛けた当事者である僕自身含めて、誰も結論を出すことができませんでした。

メリットだけでなくデメリットも同時に推測して妥協点を決める

時として、大きすぎる成果を出してしまった時には、手痛い副産物を産んでしまうこともあります。ワクワクするようなメリットの部分だけの想定はできません。

メリットとデメリット、成功と失敗、必ず表裏一体セットで、予め起こりうるリスクを含めて、しっかりと推測を立てておかなければならないと、僕は現場での活動の中から学びました。

その中で、許せる部分、許せない部分、事前のしっかりとした話し合いの上で妥協点を定め、日本の文化の結晶である商品の、現地での展開計画を組み立てる。

現地で展開した商品を現地の方々に使ってもらうことで、日本の文化の良さを知ってもらう。

机上の空論ではなく、リアリティを追求しながら、商品を通しての日本の文化伝承を行いたい。

そんな思いと共に、JAPAN CULTURE ASIA TRADING LIMITED(日本文化亜州有限公司)を香港で設立したのです。

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