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日本の文化を伝えるため商品の世界観を大切に

CAT(ジャパンカルチャーアジアトレーディング)の代表茂木龍一郎です。

僕は2003年に初めて、日本以外のアジアの地を踏みました。

当時勤務していた玩具メーカーの
営業&マーケティング担当として、

会社からの辞令を受けて、
香港支社に赴任することになったのがキッカケでした。

香港赴任後初の任務。

香港にあるトイザらス、ジャスコ(現・イオン)、
ユニー(現・アピタ)などの、
代表的な売場を見に行った時のことです。

売場を歩いていて違和感を感じました。

それは・・・

僕が勤務していた製造メーカーの商品が、
米国デザインの商品パッケージで、
棚に陳列されていたからです。

商品のパッケージの上部を確認したところ、
埃がかぶり、
現地のお客様に購入いただいている様子はありませんでした。

香港人と日本人の感性は違うのですか?

香港の販売代理店オーナーとの商談の時、
売場で撮影した写真を撮影、
プリントアウトしていた資料を差し出して、
素直に聴いてみたのです。

茂木:
「香港の売場を始めて見て驚きました!
 香港人と日本人、僕たちは一見これほどまでに、
 似ている人種なのに、

 香港の方々は、日本人と全く文化が違うのですね!

 日本ではこの手の米国デザインの
 商品パッケージは全くうけないのですが・・・。(英語)」

日本で販売されている商品の、
売場での陳列例の写真を差し出しながらたずねました。

香港代理店オーナー:
「香港人だって日本人と同じだよ。
 本来はコッチの日本版パッケージの方が
 好きに決まっているじゃないか!

 米国版のパッケージは
 私もナンセンスだと思っていたよ。(英語)」

茂木:
「え?香港の方々も同じように思うのですか?
 それなら、なぜ今まで日本版の
 商品パッケージにしなかったのですか?(英語)」

香港代理店オーナー:
「え?そんなことできるの?
 今まで米国版のパッケージしか
 海外では提供できないと、
 前任担当者から聴いていたから・・・。(英語)」

茂木:
「当然可能ですよ。
 ただし、その分、
 工場への最小発注数量だけは、
 必ずクリアして下さいね!(笑)(英語)」

こうして、赴任して最初の商談ではあったのですが、
それまで米国版パッケージで展開されていた商品を、
日本版パッケージにして、
販売することが決定しました。

ただし、
最小発注数量をクリアしないければならないので、
今までよりも多くの注文を頂戴することになったのですが。

日本版商品パッケージの商品が飛ぶように売れました

そして・・・商品と連動したテレビ番組の放映と共に、
商品を実際に売場に並べて販売開始してみたところ・・・。

凄いことが起こってしまいました。

まだクリスマス商戦にもなっていない、
平月の週末なのに、

各売場では、
次から次へと日本版パッケージの商品を
香港現地のお客様が手に取り買って頂けたからです。

香港代理店の営業ダイレクターからも、
僕の携帯電話に直接連絡があり。

週明けに追加生産をかけるための
緊急ミーティングを開くことが決定しました。

僕が香港に赴任して最初にやったこと。

それまで「海外で」「英語だから」という理由だけで、
米国向けに作られた商品と、
全く同じパッケージの商品ラインになっていたところを、

日本版のパッケージデザインをベースに、
英語の説明文を加えるだけの、
日本版パッケージに変更したことだけです。

これを、全ての新商品に対して、
徹底的に行っただけなのです。

実際にやったことはそれだけなのですが、
商品自体は変わらずパッケージの変更だけで、
商品は売場という売場で、
飛ぶように売れました。

商品の良さ、本来持つ世界観を、
日本独特の文化の結晶である商品パッケージを通して、
香港現地の方々に理解してもらうことができたのです。

さらには、香港だけではありません。

同じく日本風デザインのパッケージに同意してくれた他の国。

当時僕が香港から営業&マーケティングとしての担当していた、
台湾、中国本土、タイ、ベトナム・・・などの
他のアジア各国と地域でも、
売場での動きが跳ね上がりました。

それまでも、大人向けの商品は、
日本語版そのままの商品で、
買って頂けることが確認されていましたが、

子供向けの商品では、
「現地の子供たちは日本の文化を理解できず買ってもらえない。」
とされていたのです。

結果、商品パッケージを、
日本独自のデザインを活かしながら、
ローカライズ(現地化)を行ったことで、
子供たちにも、日本から来た商品として、
購入頂けることが分かったのです。

その年・・・僕は赴任早々最高記録更新の結果を
残すことができたのです。

日本人自体が日本の文化を理解できずに起こる機会ロス

挙げたのはあまりにも分かりやすく単純な例でしたが、
時として日本の文化というものは、
伝える側の日本人自体が、
ポイントを良く理解していないことがあります。

異国だから、海外だから、アジアだから、
日本人自らが創り出してしまった、

「海外は日本とは違う」という先入観によって、
自ら誤った方向に進んでしまうことがあります。

最初の内は「日本の商品はアジアで売れる!」と聴いて、
アジアでの商品展開を開始したはずなのに、結果は惨敗。

日本メーカー:
「アジアではこの商品は売れないね・・・。」

商品を対象国に販売した
製造メーカー側が「アジアでは売れない」と決めつけてしまい。

現地代理店:
「日本の商品は日本をよく理解しているお客様じゃないと買わない。」

商品を日本の製造メーカーから購入して、
現地で販売する販売代理店側も、
「日本の文化はごく一部の日本フリーク(マニア)しか理解しない」
と決めつけてしまうようになってしまいます。

結果として、
本来日本の製造メーカーが創りだした
素晴らしい文化が元になって創られた商品を、
アジア各国の現地の方々に理解してもらう機会を損失してしまうのです。

だから僕は、

本来その商品(モノ・情報・サービス)そのものが持つ、
日本の文化特有の世界観や設定などを大切にしながら、
アジア各国現地の方々との最良の接点を探り、
現地に伝承して行きたい。

そんな思いと共に、
JAPAN CULTURE ASIA TRADING LIMITED(日本文化亜州有限公司)
を香港で設立したのです。

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